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コロナ禍を機にリモートワークが定着しつつあるが、物理的に離れたメンバー同士のコミュニケーションをコントロールするのは難しい。パンデミック前から遠隔コミュニケーションに関する研究を続けている筆者らによれば、マネジャーは「バースト性」「情報の多様性」「生理的同期性」の3つに注意を払うことが必要だという。本稿では、リモートチームの創造性を育み、プロセスを合理化して、チーム全体のパフォーマンスを向上させるために何をすべきかを論じる。


 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続く中、職場のオンライン化への動きが拡大し、今後も続くことが予想される。だが、多くの組織が気づき始めたように、リモートチーム内のコミュニケーションの流れをコントロールするのは容易ではない。

 筆者らは最近の研究結果から、この状況に役立つ知見を得た。それは「バースト性(burstiness)」「情報の多様性(information diversity)」「生理的同期性(physiological synchrony)」の概念に焦点を当てたものだ。そして、これらに注意を払うことで、創造性を育み、プロセスを合理化し、マルチタスクのストレスを軽減し、チームのパフォーマンスを向上させることができると、我々は考えている。

バースト性を高める

 人間のコミュニケーションには、本質的に「バースト性」、つまりコミュニケーション活動が活発な期間と、ほとんどあるいはまったく活動がない期間とが交互に存在する。筆者らの研究によれば、このように一時的に集中してコミュニケーションのバースト性が高まる「爆発期間」と、長い「沈黙期間」が交互にあることが、成功するチームの特徴となっている。

 この沈黙期間に、チームのメンバーはアイデアを形成し、発展させる。これは、プロジェクトの次のステップやチームが直面する課題の解決策を創出する「ディープワーク」、すなわち深い集中の持続を要する作業である。

 一方の爆発期間は、エネルギーを集中させ、アイデアを発展させて、特定の問題を終結させる。これにより、チームのメンバーは次の課題に進むことができる。

 バースト性のあるコミュニケーションを行うには、メールやテキストメッセージのような文字ベースのメッセージを、各自が好きなタイミングで相手に送信できる「非同期のコミュニケーション」と見なすのをやめる必要がある。

 そうではなく、チームメンバーの作業ルーチンを調整して、誰もが迅速かつ注意を払って対応できる、短期間のコミュニケーションを図るべきだ。それこそが、パフォーマンスを高めるための道筋である。