変化の見極めに有用な
アナリティクス
緊急事態にみっともない姿をさらしたビジネスリーダーが、これほど先の見えない時代にはどんな組織も当てずっぽうで飛ぶしかないと言い訳するのを、おそらく聞いたことがあるだろう。しかし実際のところ、リーダーの中には、みずからの進行方向を正確に把握している者がいる。このようなリーダーは、激動する市場の中で針路を決めるために必要なことを理解し、鋭い状況認識力を持った組織をつくり上げている。
物事がどこに向かっているのかを見極めて、変化する環境に素早く対応する能力を開発する時に、何よりも重要なのがアナリティクスである。残念ながらここ数年のアナリティクス(データマイニングやビジネスインテリジェンスとも呼ばれる)は、データサイエンスの中ではないがしろにされた存在で、機械学習や統計学に比べて影が薄い。
機械学習と統計学は、人間の直感という土台に高度な数学的知識を重ねたもので、客観性と巧みな舵取りという魅惑的な幻想を見せてくれる。だが皮肉にも、危機を乗り越えるためには、この3つの中ではアナリティクスが最も重要な能力なのである。