危機に強い組織をつくる3つの要因
編集部(以下色文字):大山会長は「ピンチはビッグチャンス」というモットーを掲げ、過去にはバブル崩壊や東日本大震災、また新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の危機のいずれも、新たなニーズに応えることで成長の機会に変えてきました。危機の影響をどのように予測されていたのか。また、危機から素早く再起するために、何を意識して取り組まれてきたのでしょうか。
大山(以下略):最初にお伝えしておきたいのですが、震災や感染症のような危機を事前に予測して、完璧な備えをすることなど不可能です。マクロ経済のように大きな動きを読むことはできるかもしれませんが、自然災害がいつ起こり、それがどんな影響をもたらすかを読み切ることなどできません。
経営者にとって重要なのは、危機が起きた時にいかに迅速に対応するか、です。たとえば、当社は新型コロナウイルスの感染拡大を受けてマスクをすぐに増産し、世間のお役に立つことができましたが、もちろん感染症の流行を予測していたわけではありません。SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)、あるいは花粉症対策としてたまたまマスクを手掛けていて、その生産レベルを上げたにすぎないのです。