
アマゾン・ドットコムはこれまで、数々の競合との争いを制してきた。アマゾンは、ビジネスの競争をどのように考えているのか。環境が目まぐるしく変化する中で、いかに勝ち続けてきたのか。創業者のジェフ・ベゾス本人が語る。
実社会では、ゼロサムゲームのような状況は驚くほど例外的です。スポーツの試合は、確かにゼロサムゲームと言えるでしょう。2つのチームが試合会場にやって来て、勝つのは片方だけ。もう片方のチームは負けなくてはなりません。選挙もゼロサムゲームです。勝って当選する候補者以外は、落選するからです。
けれども、ビジネスの世界では、競争関係にある数社が好結果を得られるケースがあります。そのような状況はけっして珍しくありません。ビジネス界の競争でうまくやっていくために最も重要なのは、強靭であること、そして、それと同時に敏捷であることです。この点は、軍事的ライバルとの関係でも言えることだと、私は思っています。
そのためには、規模が大きいことが物を言います。その意味で、米軍には大きな強みがあります。米軍はきわめて巨大な存在だからです。
規模は、途方もない強みを生みます。規模の大きさは強靭さをもたらします。パンチを見舞われても倒れないだけの強さを持てるのです。けれども、パンチをかわすことができれば、それも大きな強みになります。これが敏捷性を持つことの利点です。
強靭さは、規模が大きくなればなるほど増します。一方、敏捷性をもたらす最も重要な要素は、意思決定のスピードです。それに次いで重要なのは、実験をいとわない姿勢です。リスクを避けようとしてはならない。失敗する覚悟が必要です。ただし、失敗することが好きな人はいません。