Illustration by Cecilia Castelli

男性がジェンダー平等を積極的に推進しないのはなぜか。その原因が自分たちにあると認めるだけでなく、職場での立場が悪くなることを恐れているかもしれない。しかし、これはゼロサムの問題ではない。女性の成功が、男性の地位や名誉を奪うわけではないのだ。職場でDEIが実現すれば、それは男性自身にもさまざまな利益をもたらす。本稿では、ゼロサム・バイアスを克服するための6つの行動を提案する。


 男性がジェンダー平等の話をしたがらない理由はわかりやすい。女性の問題の原因は男性にあるとされることが多く、積極的に関わりたくはないだろう。それだけでなく、ジェンダー平等が実現したら自分の職場での地位が危うくなると考えているとしたら、会社で本業外の活動にわざわざ取り組む理由はない。

 しかし、ジェンダー平等への歩みを進めたいなら、男性の参加は不可欠である。男性をダイバーシティ(Diversity:多様性)、エクイティ(Equity:公平性)、インクルージョン(Inclusion:包摂)のDEIイニシアチブに巻き込む最善の方法の一つは、ゼロサム・バイアスをなくすことであると、筆者らの研究が示している。ゼロサム・バイアスこそが男性の参加意欲をそぐ原因となっているのである。