Illustration by Katty Huertas

極度の脅威にさらされると、生物学反応として闘争・逃走反応が生じることが知られている。だが、神経科学分野で提唱されている「ポリヴェーガル(多重迷走神経)理論」によれば、闘うか逃げるかの二者択一ではないという。問題に直面した時、本能的に働くこれらの防衛反応を自己調整することで、他者との協力や創造、繁栄を可能にする状態にみずからを移行させるにはどうすればよいか。ポリヴェーガル理論の応用経験に基づいて開発された、移行を促すための5つのステップを紹介する。


 筆者の一人(クイン)に、ある企業のCEOから相談の電話があった。同社は、新技術に関連した大きな機会を目の前にしていたが、窮地に立たされて、彼女は身動きが取れなくなっているという。

 出資者の代理人の中に、非常に利己的で強引な人物がいる。同社の有力な取締役会メンバー数人が及び腰になり、約束していた資金援助を取りやめようとしていたため、プロジェクトそのものが危機的状況にあるというのだ。