Illustration by Thumy Phan

キャリアを通じて何度も転職することが当たり前になる中、出戻りの「ブーメラン社員」が採用候補者にリストアップされることも珍しくない。慢性的な人材不足に悩まされる企業にとって、教育コストがほとんどかからず、外の世界で経験を積んだ人材を再雇用するメリットは大きいとされている。それは真実なのだろうか。筆者らが、ブーメラン社員、外部採用、内部昇進のパフォーマンスを比較した結果、意外な事実が判明した。


 優秀な従業員が、あなたの会社を辞めて転職した。魅力的な給与や特典を提供するリクルーターに誘われたのかもしれないし、ただ新しいことに挑戦したかったのかもしれない。

 ところが、数カ月後あるいは数年後、その元従業員が再びあなたの会社の扉を叩いてきた。隣の芝生は青くなかったことがわかったのだ。あなたはこの元従業員を再雇用するだろうか。

 歴史的に、組織を去ることは不忠実と見なされ、元従業員を再雇用することはタブーだった。しかし、平均的な従業員がキャリアを通して勤務する企業数は12社以上に上り、企業が厳しい労働市場とスキル不足に悩む時代にある中、多くの組織がこうした「ブーメラン社員」の雇用を検討している。

 元従業員を再雇用することには、いくつかのメリットが考えられる。

 まず、ブーメラン社員は旧知の人物のため、初めて採用する従業員よりもリスクが低いと考える企業がある。ブーメラン社員はまた、すでに仕事を理解していて、研修とそれにかかる時間が少なくて済む。

 さらに、自分が取り組むことをわかっているため、今回はより献身的に働き、再び退職する可能性は低いかもしれない。おそらく最も重要なことは、彼らが離職後に経験したことによって成長し、斬新な知識、スキル、成熟さを持ち帰ってくることだ。

 この人材戦略に関する研究は、ほとんど行われてこなかった。そこで筆者らは、ブーメラン社員に対する仮説が正しいかを調べることにした。