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行動力があって誰とでも気軽にコミュニケーションが取れる人を見ると、うらやましいと思うかもしれない。とりわけ、そうした外向的な特性が重視されているビジネスの世界では、内向的な人は自分には向いていないと最初から多くを諦めてしまいがちだ。だが、実際にコミュニケーションを取り、人間関係を構築するには、外向的な人より内向的な人のほうが有利になる可能性があると筆者らは主張する。本稿では、内向的な人が生まれ持つ能力について説明したうえで、外向的な人が活躍する業界で必要とされる社会的スキルをどう習得すべきか論じる。


 次の文章が、自分に当てはまるか考えてみてほしい。

・上司へのコメントは口頭でなくメールで伝えるほうだ。
・大勢と一緒にいると、非常に疲れる。ソファに寝転がって、くつろいでいるほうが好きだ。
・チームメンバーとのブレインストーミングよりも、一人で静かに考えるほうが、エネルギーが湧いてくる。
・人と一緒にいるのが嫌なわけではない。ただ、一人で仕事をするほうが楽しい。

 あなたが内向的な人であれば、これらの文章のすべて、または一部に共感できるだろう。そして、「行動力があり、社交的で、並外れたコミュニケーション能力の持ち主」を必要とする求人情報に心を動かされることは、ほとんどないはずだ。

 就職活動や転職活動をしていると、「そもそも、自分はビジネスの世界に向いていないのではないか」と思うことさえあるかもしれない。これは一部の業界については、当てはまる可能性がある。

 ある研究によれば、外向的な人(自信を持ち、社交的で、自己主張が強い人)は、高収入の仕事に就く確率が25%高いという。たとえば、コンサルティング会社や投資銀行は、外向的な人が活躍する可能性が高いフィールドだ。

 とはいえ、内向的な人もあらゆる業界に存在し、昇進を遂げている。内向的な人も外向的な人と同じように、有意義なつながりを築き、上手にコミュニケーションを取る能力を持って生まれているのだ。

 筆者のムーアは、大学で教鞭を執るとともにプロフェッショナル・コーチとして、6年以上にわたってパーソナリティとリーダーシップに関する研究を行ってきた。その結果、内向的な人と外向的な人の最大の違いは、コミュニケーション能力ではなく、刺激に対する反応の仕方だということが明らかになっている。

 外向的な人の脳は、刺激によって活性化されるため、社会的環境の中で刺激を求める。これに対して内向的な人は、社交を楽しむかもしれないが、充電する時は一人になることを好む。

 だが、実際にコミュニケーションを取り、人間関係を構築する場合は、内向的な人のほうが有利になる可能性がある。一般的に思われているのとは反対に、有力者に好印象を与えるのに、声が大きくて目立つ存在である必要はないからだ。

 900人以上のCEOのパフォーマンスを評価した最近の研究によれば、内向的な人は外向的な人よりも投資家の期待を上回る働きをすることが多いという。さらに、非常に外向的な人は内向的な人に比べてトップの地位に就く可能性が25%高いが、内向的な人はより優れたリーダーになることが多いことが示されている。

 外向的な人のほうが向いているように見える業界で、内向的な人はどのように成功する方法を身に着けたのだろうか。

 これを理解するために筆者らは、外向的な人が活躍する業界で実際に働いている内向的な人を対象に、インタビュー調査を行った。大学を卒業して間もない若手15人とベテラン数人の話を聞いた。全員が「自分は内向的だ」と考えている人々で、北米でもトップクラスのコンサルティング会社または投資銀行で働いている。そして、彼らから聞いた話を通じて、成功につながるいくつかの行動パターンを特定した。

 内向的な新社会人であれば、筆者らの知見を上手に活用できるだろう。自分がもともと得意としていること、自分にできること、そしてそうしたスキルを活用する方法を知ることは、いかなる業界においても、成長に向かう最初のステップだ。