競争するための力を
ライバルと協調して補う
編集部(以下色文字):近年、ライバルと競争をしながら、手を組むべきところは組むという「競争と協調」の戦略が見直されています。髙橋社長は2018年、通信事業に参入したばかりの楽天と業務提携し、自社の通信設備を貸し出すという判断をしました。当時は、KDDI側から持ちかけたという話も出ていましたが、この狙いはどこにあったのでしょうか。
髙橋(以下略):そのお答えの前に、創業時の話をさせてください。KDDIは、2000年に第二電電(DDI)、ケイディディ(KDD)、日本移動通信(IDO)の3社が合併してできた会社です。私はDDI創業初期のメンバーです。
1985年の通信自由化後、DDIは長距離通信市場に新規参入し、マイクロ波を用いて東海道ルート(東京、名古屋、大阪)の専用サービスを開始しました。NTTの競争軸となり、よりよいサービスを提供する「ニューコモンキャリア」の一角を担いました。