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感染症の流行を防ぐために移動や物理的接触が大幅に制限されたことで、人とのつながりが急速に失われている。なかでも、オフィスで雑談を交わす程度の同僚や、かつて仕事をともにしたクライアントなど、「ちょっとした知り合い」との関係は消滅しつつあるのではないか。社会的ネットワークが縮小するのを放置していたら、個人にとっても企業にとっても深刻な影響をもたらしかねない。


 筆者らの最近の調査を通じて、パンデミックの間に私たちの仕事上および個人的なネットワークは16%近く、数にすると200人以上も縮小したことが明らかになった。ネットワークが縮小すると深刻な弊害が生じ、仕事を見つけるのが困難になったり、キャリアアップの妨げなったり、昇進が難しくなったりする。

 企業にとっては、創造性の低下や集団思考の増加につながる。職場で人とのつながりが少ない人は帰属意識が低下し、組織との同一化が進みにくくなり、離職や、場合によっては不正や職務怠慢のリスクが高まる。

 通常の状況では、ネットワークはただ縮小するのではなく変化する。引っ越しや転職、子どもの誕生などに伴って徐々に友人が減るのではなく、失った友人の代わりに新しい人間関係を築いていくのだ。

 今回のパンデミックが通常と異なるのは、古い人間関係が新しい人間関係に置き換わっていないことだ。多くの人が孤独に悩み、仕事のつながりが絶たれたと感じているいま、ちょっとした知り合いとのつながりを維持することが、これまで以上に重要になっている。