Audrey Shtecinjo/Stocksy

昨今、女性リーダーの数は増えているものの、男性の昇進ペースと比較すればまだまだ遅い。その重要な要因の一つは、フィードバックの与えられ方に男女格差が存在するからだ。マネジャーは無意識に、男性部下には昇進につながる具体的なアドバイスを与える一方、女性部下に対するアドバイスは抽象的な表現に留まったり、女性らしさを要求したりしていることが、筆者らの調査で判明した。本稿では、マネジャーが持つ無意識バイアスの正体を明らかにし、男女問わず公正なフィードバックを与えるためのシンプルな方法論を紹介する。


 ビジネスの世界でマネジャー職に就く女性は増えているが、女性が高位のリーダーの地位へと昇進するペースは、いまもって男性よりもかなり遅い。職場におけるジェンダー不平等を生み出す構造的要因にはさまざまなものがあるが、その一つの重要な要因は、成長に役立つフィードバックの与えられ方に男女間で格差があることだ。

 この問題に比べれば、過去のパフォーマンスについてのフィードバックに潜むバイアスに気づき、それを緩和することは、まだ比較的簡単かもしれない。その種のフィードバックは概して、数値で表現できる面が大きいからだ。それに対し、未来のリーダーになるためにその人がどのように変わり、成長すべきかという点に関するフィードバックは、どうしても定性的な性格が強くなるので分析しにくい。