ケニアの首都ナイロビにある携帯電話のサポートセンターで、サファリコムの従業員が送金サービス「エムペサ」をスマートフォンに表示する様子(2018年11月22日)。
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米国はこれまで、フィンテック・イノベーションを牽引し続けてきた。しかし、そのリーダー的地位は、アフリカ諸国の台頭によって脅かされつつある。なかでも目を見張る発展を遂げているのが、ケニアだ。携帯電話を基盤としたモバイルバンキング・サービスが急速に普及し、いまや金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)の模範的存在となっている。米国は、そして世界の企業は、ケニアの成功から何を学ぶべきか。


 米国は60年以上にわたり、世界の金融技術(フィンテック)を牽引するイノベーターであった。しかし、この10年で世界のリーダーとなったのは中国だ。スマートフォンとSNSアプリに後押しされ、中国はリモート決済と金銭管理のデジタル化を活用し、金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)のための安定的手段を確立してきた。

 しかし、そのリーダー的地位も長くは続かないかもしれない。近年、ナイジェリアやケニアといったアフリカの国々がフィンテックの成長拠点として台頭し、安価で容易に使えるテクノロジーを活用して、かつてない形で消費者を動かしているのだ。