タイミングに配慮する
就業時間は人によって(ハイブリッドな仕事環境では特に)異なるが、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時までと想定するのが安全だ。
なるべく相手の就業時間内にメールが届くようにタイミングを図ろう。時間外に連絡すると、相手は反射的にすぐに返信しなければいけないと思い、不当に注意を奪われる。このドミノ効果によって、受信者は当然の権利である余暇から仕事モードに引き戻されるのだ。
思いやりあるメールは、「仕事から離れている」人へのメッセージにも当てはまる。同僚が休暇や家庭の事情で休んでいる時には、規則を順守し、じゃまをしないようにメールの送信を先に延ばす。定刻を尊重することは、チームの境界線を守ることにつながる。
メールを受け取ってしまうと、返信しないでいるのは難しい、そう言いたいのだろう。相手がオンラインに戻ってくる頃合いで送信されるように設定さえすれば、下書きは就業時間外にしても構わない(詳細後述)。至急の連絡があり、どうしても待てないという時には、メールはいずれにしろ適切な連絡手段ではない。その際は電話をかけよう。
プラグインを利用する
送信予約に関しては、ブーメラン(Boomerang)やハブスポット(HubSpot)などのプラグインのようなメールアシスタントアプリが強い味方だ。Gmailやマイクロソフト・アウトルックなど一部のメールサービスには、送信予約機能が組み込まれている。
これらのツールを使えば、金曜日の就業時間後にメールの下書きを作成し、月曜日の朝に送信されるように設定できる。これは非効率ではなく、相手と、相手の受信箱への思いやりだと捉えよう。
プラグインを活用してチームの受信箱を保護するもう一つの重要な使用法は、会議予約だ。「来週打ち合わせできますか」で始まるメールは非効率である。都合のよい日時が見つかるまで、延々とやり取りが続きかねない。
メールの代わりに、ほとんどのメールプラットフォームについているカレンダー・プラグインを使って会議日程を決めよう。カレンドリー(Calendly)などのサードパーティ製ソフトは、メンバーの空き時間に応じて自動的に会議日程を決め、各人のカレンダーに表示し、バーチャル会議のリンクも自動的に貼ってくれる。
追加のソフトを使いたくないという人でも、会議に関連した不必要なやり取りを効率的に回避することは可能だ。前もって自分の都合のつく候補の日時を挙げておき、相手に最終の日時を返信してもらう。確認が取れたら、それ以上返信する必要はない。カレンダーの招待機能で会議の場所かビデオ会議用のリンクを送れば終わりだ。招待にリンクや参考資料を貼り、改めてメールを送らなくて済むようにしよう。
マイクロソフト・アウトルックなど一部のメールソフトには、「いいね」機能がある。ワンクリックで、受信確認と支持の両方が伝わる。返信メールを親指アイコンに要約するシンプルで効果的なツールだ。メールプラットフォームにこの機能がある人は、試しに同意の「いいね」をリクエストしてみよう。
結論
メール作法の基本に加えて、これらの効果絶大なアイデアを実践することは、同僚の受信箱を守り、思いやりあるメール文化を醸成することに役立つだろう。この改革を推し進めると同時に、チームとの継続的な議論を通じて、メールのベストプラクティスについて検討し合意して、改善すべきエリアを見極め、チームとして現実的な目標を設定しよう。
チームの受信箱に配慮すれば、メンバーがメールをチェックする回数が減らせる。この改革には習慣の見直しが必要になるかもしれないこと、それが難しいかもしれないことは認識している。失敗や例外は出てくるだろう。筆者らもそれは同じだ。
しかし、コミュニティ全体が他者の仕事や都合を尊重するようにすれば、メールの量を全体的に減らすことができる。これは誰もが得をするモデルなのだ。
HBR.org原文:What a Compassionate Email Culture Looks Like, March 16, 2021.