●まずは気づくことから始める
会議でのダイナミクスや発言パターンを観察する。誰がたくさん話して、誰が話していないか。自分自身はどうか。遠慮していないか。喋りすぎていないだろうか。自己認識を高めて、みずからの貢献度を理解する。
会議における心理的安全性のレベルを評価する。取り上げられていないテーマについて検討する。また、会議を録画して後から見返すことで、その場では見えていなかったパターンに気づくことができる。
●序盤で発言する練習をする
発言をためらう傾向がある場合、会議の最初の30%以内に発言してみる。早い段階でリスクを冒して声を上げておけば、たとえそれが理解した内容を確認して言葉にするというシンプルな行為であったとしても、脳の扁桃体の恐怖反応が抑制され、それ以降の発言がしやすくなる。
早めに質問に答えたり、会議が始まる前に出席者と雑談をしたりするうちに、発言することに慣れ、リスクが高まっても議論に貢献しやすくなる。
●マイクロアグレッションを上手にやめさせる
ティファニー・ジャナとマイケル・バレンは共著Subtle Acts of Exclusionの中で、マイクロアグレッション(偶然や無意識からくる差別的な言動)に気づいた時には、シンプルな言葉で相手を落ちつかせ、その場でその行為をやめさせることの重要性を強調している。
同席者がその行為に気づいたら、次のように会話を遮ることで助け舟を出せる。「いま言われたことについて、ちょっとお話ししてもよろしいですか。もちろん、特別な意味で言われたのではないと思いますが……」
ここは、あくまで相手のことを思って言っていることを伝え、相手を批判するのではなく、むしろ相手に協力を求めることで関係を強化すべき瞬間だ。
●上手に話せなくても構わない
コーチングにおいて逡巡せずに直感的に話すことは、人が本音を語ろうとする時に話が拙かろうが整然としてなかろうが、それが人間らしさだと認めている。思ったことを口にするには、適切な言葉が見つからなくても、言うべきことを完璧に伝える術がなくても構わない。自分を主語にして、自分の体験から気づいたことを述べることだ。
たとえば、「カリムが何か言おうとしているようにお見受けしましたので、話を戻してもよろしいでしょうか」「その点ですが、言いにくくて言いそびれていることがありました」「お話ししたいことがありました。話が複雑で、うまく言葉にできるかわかりませんが、少しお時間をいただけますか」と言うのがよい。
●割り込みの慣習をつくる
チームとして割り込みを活かすには、敬意を持って上手に話を遮り、個人的な問題として受け止めないようにするための集団規範が必要だ。
割り込みは、あなたの職場の文化的規範で歓迎されるだろうか。あるいは責められるだろうか。現時点では、どのテーマであれば、あるいはどの人であれば割り込みが許されるだろうか。誰にとって心理的安全性がないか。誰にとって割り込みが可能か。議論を始めて、そうしたダイナミクスの問題をチーム全体で認識する。
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割り込みという行動に拙劣さや居心地の悪さを感じるのは、それが機能している証左だ。時間とともに、自分自身も会話に加わりやすくなり、他者も安心して同じことができるようになる。あなたはもっと熟達して、適切なタイミングで円滑かつ謙虚に会話を遮ることができようになり、自分が所属する組織や職場が割り込みを歓迎するようにさえなるかもしれない。
HBR.org原文:How Interruptions Can Make Meetings More Inclusive, March 24, 2021.