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リモートワークに移行したことで、同僚とオフィスですれ違って雑談したり、ちょっとした相談に対応したりする機会は完全になくなった。会議が増えている一方で、孤立感は増し、人とのつながりが減少している。職場でのインフォーマルな交流は、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の要となる。それが失われると生産性やイノベーションに重大な影響を与え、組織のパフォーマンスを損ないかねない。本稿では、マイクロソフトが実施した調査からリモートワークの問題点を明らかにし、その中でインフォーマルな交流を促進する4つのポイントを紹介する。


 最後にオフィスの廊下で同僚とすれ違い、週末の予定や進行中の大きなプロジェクトについて話したのは、いつだったか。適切なタイミングで適切な場所にいたあなたが、誰かが探していた情報を教えたり、同僚に新しい人を紹介したりしたのは、いつだったか。きっと、しばらく前のことだろう。

 こうした会話がいかに重要なのかを、あなただけでなく多くの人が、在宅勤務を始めるまで気づいていなかったかもしれない。

 このようなインフォーマルな交流は、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の要となる。ソーシャルキャピタルとは、まさに知り合いであるという理由で、その人から受ける恩恵のことだ。

 何かに行き詰まった時、誰かがそうする責任はないのに助けてくれる、それがソーシャルキャピタルだ。専門知識が必要になり、一度しか会ったことのない人が提供してくれるのも、ソーシャルキャピタルのおかげだ。あなたが自分の知識やメンタリング、親切で誰かをサポートして、相手の期待をはるかに超える貢献をすることは、彼らがソーシャルキャピタルを築く手助けになる。

 誰かを頼れることも、誰かに特別な手助けをすることも、かつて私たちの職場を満たしていた予定外の交流を通して、親密さと好意の基盤を築いてきたからこそ、である。

 ソーシャルキャピタルは、従業員と組織の双方にとって、成功している職場がさらに発展するために不可欠なものだ。知識や情報の流れを促進し、新しいアイデアを刺激して、私たちの思考を活性化させる。さらに、欠勤率や離職率の低下、組織のパフォーマンスの向上にも貢献する

 しかし、リモートワークへの移行が、組織内のソーシャルキャピタルの性質を変えている。よい変化ばかりではない。従業員は、以前より会議が増えている一方で、より孤立を感じるようになり、つながりが減ったと回答している。