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企業はクッキー(Cookies)を活用することで、オンライン上でターゲティング広告などを配信してきた。だが、顧客が企業による情報収集を警戒するようになり、パーソナルデータを保護するための規制もますます強化される中、クッキーの時代は終わりを迎えつつある。ただし、パーソナライゼーションを諦める必要はない。ゼロパーティ・データを使えば、顧客の意志を尊重しながら、より高度なパーソナライゼーションを実現することができる。


 企業は長年にわたり、消費者のオンラインでの行動を観察するためにクッキー(Cookies)を使っている。

 クッキーとはブラウザに保存される小さなテキストファイルであり、ウェブサイトへの訪問履歴を記録する。ブランドはクッキーのおかげで、自社の顧客像に関する理解を深めるうえで役立つ豊かなデータを入手でき、顧客に対するより適切な製品・サービスの提案が可能となる。

 ただし、この方法によるパーソナライズは代償を伴う。誰がこのデータを収集しているのか、自分の行動はどれほど追跡されているのか、企業はその情報を使って何をしているのか、その情報を誰に売っている可能性があるのか――こうした点をめぐり、消費者は懸念を募らせているのだ。

 実際、最近発表されたピュー・リサーチセンターの報告によれば、米国人の79%は自分のデータを企業がどう使っているかについて懸念を抱いている。米国消費者の41%はクッキーを定期的に消去し、30%は広告ブロッカーをインストール済みだ。

 そして当然ながら、この高まる不信感は政府の規制にもますます反映されている。クッキーを対象とする最もよく知られた法律の一つは、2018年に施行された一般データ保護規則(GDPR)であり、EUにおけるデータプライバシーの要件を大幅に拡大した。

 より最近では、欧州の規制当局はターゲット広告の全面的な禁止を求める声を挙げ始め、バージニアとカリフォルニアの両州は包括的なプライバシー法案を可決した。グーグルクロームは、サードパーティ・クッキーのサポートを2022年までに完全に終了する計画を発表している。

 クッキーの時代は終わりを迎えつつある。とはいえ、これは企業がパーソナライズをやめるべきという意味ではない。新たな、よりよいアプローチを始める時が来ているのだ。