
私たちは気持ちに余裕がなくなると、何をすればいいのかわかっていても、行動に移せなくなりがちだ。それでは状況が改善しないばかりか、むしろ悪化させてしまう反応をすることさえある。余裕を持てない自分を自己批判した結果、完璧主義に陥って、さらに身動きが取れなくなる。そうなれば、悪循環だ。精神的に追い詰められた時こそ、みずからに思いやりを持ち、自分を支えてくれる人々とつながり、問題に対処していくことが欠かせない。本稿では、心のエネルギーが枯渇している時に生じる自己破壊的な行為を5つ挙げ、それぞれについて現実的な対処法を示す。
人は気持ちに余裕がなくなると、状況を改善しないばかりか、悪化させてしまう反応の仕方をすることがある。そうしたパターンを自覚していない人もいれば、わかっていながらどうしようもできない人もいる。
以下に、精神的に追い込まれた人に共通する、誤った自己破壊的な行為を5つ挙げ、それぞれについて現実的な対処法を示す。それらの解決策を講じることで、自分があらゆる事態に備え、重要なタスクをこなし、問題を解決することで、物事を上手に処理できていると感じることができるだろう。
(1)自分が楽になるための行動を取る時間がないと思っている
人は何をすれば、自分が「物事が自分の思い通りに進んでいる」と感じることができるか、よくわかっている。たとえば、誰か家の手伝いをしてくれる人を雇う、セルフケアを実行する、セラピストに相談する、休暇を取る、友達とゲームナイトを企画するといった具合だ。
ところが、いまは忙しすぎる、もしくはタイミングが悪いから行動に移すのはもっとふさわしい時期まで待つことにして、その考えを退けてしまう。だが実際に、そのふさわしい時期が訪れることはけっしてない。
ふさわしい時期や方法を考えるのではなく、いま、簡単にできる最善の選択肢を選ぶ。複数のセラピストに話を聞いて、誰が最善の候補か調べる時間はないかもしれないが、自分の基準のいくつかに合ったセラピストのセッションを、試しに数回受けてみる時間はあるかもしれない。
よいアイデアがあっても、それを実行に移さずにいると、無力感や無能感につながる可能性がある。また、「やらなければ」と思っていることがいつまでも終わらないと、同じことを何度も考えて、時間とエネルギーを浪費してしまう。加えて、行動を起こさなければ、アイデアを試すことによって得られる成果を逃してしまうことになる。
自分自身を助ける行動を取ることは、実行可能な解決策を見つける練習になり、自己効力感を高め、そうした成果をいち早く刈り取ることにつながる。