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ウーバーやアマゾン・ドットコムのように、従業員を自社のルールに強引に従わせるのではなく、会社にとって好ましい行動をさりげなく後押しする「ナッジ」を活用する企業が増えてきた。アルゴリズムを活用したナッジは、それ以前とは比較にならないほど実行性の高いものになっている。ただし、働き手が望まない行動を促されたり、データを収集・保管する方法が不適切だったりするなど、倫理面での批判が高まっていることも事実だ。本稿では、ナッジをトラブルなく実施するための3つの施策を提案する。


 最近、企業は力ずくで個人を管理・統制するよりも、アルゴリズムを駆使して、好ましい行動を取るように個人を「ナッジ」(そっと後押しする)することを目指すようになっている。一人ひとりの個人データから学習して、巧みに働きかけることにより、それとなくその人の選択に影響を及ぼすのだ。

 フェイスブック上のターゲット広告やパーソナライズされたコンテンツは、ある商品を購入するようユーザーをナッジするものだけではない。2017年に明るみに出たケンブリッジ・アナリティカ事件[編注]をきっかけによく知られるようになったように、その種の広告やコンテンツは、ユーザーが選挙で特定の候補者に投票するよう操作する目的でも用いられている。