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ビジネスの世界で、実験革命が起きている。大量のデータ入手とその処理が可能になったことから、実験的研究手法を活用して、さまざまな経営の意思決定プロセスに役立てているのだ。その一方、未来のリーダーを育成するMBA課程では一部を除いて、実験を体系的に教えるカリキュラムはほとんど存在しない。実用的なデータを企業がますます求める中、ビジネススクールもプログラムとして実験の基礎を教えるべきだと筆者らは主張する。本稿では、実験文化が企業にもたらす恩恵を紹介したうえで、MBA課程に実験をどう取り入れるべきかを論じ、ビジネススクールに必要な3つのアクションを提言する。


「ランダム化比較試験は歴史的に、学術研究における奥義のような存在だったが、いまやメインストリームへと劇的な飛躍を遂げた」
――マイケル・ルカ(ハーバード・ビジネス・スクール准教授)、マックス H. ベイザー(同校教授)

 企業の意思決定に根本的な変化が起きている。伝統的に、科学的手法に従って実験を行うのは科学者の世界でのことだったが、現在ではあらゆる業界のマネジャーが前例のないスケールで、実験文化を判断プロセスに取り入れている。