第2回は、企業経営の全体像をお金の流れという観点からとらえ、企業価値の概念を導いていく。企業は、株主や銀行などから資金を調達し、それを資本として事業に投資して(貸借対照表「BS」の資本、負債、資産の部にそれぞれ記録される)、その事業を運営することによって利益を生み出していく(損益計算書「PL」において年度単位の損益として記録される)。
企業経営におけるお金の流れを意識したPL&BS一体型思考のもと、事業から利益などのかたちで生み出されるキャッシュフローに基づいて企業価値の評価が行われる。このディスカウントキャッシュフロー法と呼ばれる企業価値評価の枠組みを理解しておくことが、「投資家である経営者」が用いる共通言語の習得につながる。

貸借対照表と損益計算書

 企業は、株主あるいは銀行や社債権者という負債の提供者から資金を調達し、その資金を資本として投資することによって事業を構築する。そして、その事業を運営することによって、利益などのかたちでキャッシュ(現金)を生み出していく。このようにして、企業が将来にわたって生み出していく一連のキャッシュ(「キャッシュフロー」と呼ばれる)の現時点での価値の総和として企業価値を創造していくのである(図表2-1「企業経営におけるお金の流れ」を参照)。

図表2-1 企業経営におけるお金の流れ