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目の前に、誰も手をつけていないタスクがある。非常に重要で、極めて緊急を要するものだが、自分の職務の範囲を超えている。あなたはその時、みずからの手でタスクを完遂させるべきだろうか。問題は、リーダーであってもチームメンバーであっても、状況認識できないまま手を出すことで、かえって混沌や混乱を招いてしまうリスクだ。担当範囲を超えて仕事をすることが有益か有害かを検証するために、多数病傷者発生時の対応訓練に関する記録や観察を通じて検証を行ったところ、3つのポイントが明らかになったという。本稿では、ますます変動の著しい状況において、細心の注意を払いながらも迅速に判断を下すための基準について論じる。


 遂行されるべき重要な仕事が目の前にある時、自分の役割でなくても、それをやるべきだろうか。

 チームプレーヤーとして、可能な限り助け舟を出すのはよいことだから「もちろん」と言う人もいれば、やる気がないからではなく、人の仕事に手出しして非難される恐れから「否」と断じる人もいる。実際、「Stay in your lane」(「自分の車線から出るな」から転じて「出すぎた真似をするな」の意)という言い回しがあり、自分に割り当てられた仕事「だけ」をすべきだと説く際によく使われる。