
営業組織のリーダーは、売上げに関する指標に目を光らせている。だが、実際に目にしている予測値や見通しは、真実を表しているだろうか。それらのデータは現場から上がってくる間に、上位のマネジメントに受け入れてもらうための「修正」が重ねられた結果であることがあまりにも多い。結果として、リーダーが目にする数字は、実際にパイプラインで起きている状況と解離が生じる。そうではなくリーダーが状況を正しく把握し、適切なタイミングで介入すれば、自社の成長をさらに加速できるはずだ。本稿では、どのような企業にも適用できる優れた営業指標を紹介する。
営業組織で使う指標に関してCEOと議論していると、いつも2つの驚きが生じる。
まずは筆者が、CEOが率いる組織で使っている指標の測定範囲がいかに狭いかに驚く。次にCEOが、自社の売上げに関するパイプラインで何が起きているか、実はほとんど知らないことに気づいて驚く。
通常、CEOに報告される営業指標は、今四半期の売上予測と少し先の見通し、さらに年間売上に関する全体的な感触に限られる。
残念なことに、そうした売上げに関する予測値は、何度も変更された推測に基づいていることが多い。上位のマネジメントに受け入れられるために、予測値をポジティブなものにしようと、組織のそれぞれのレベルで修正が重ねられた結果であることが多いからだ。
言うまでもなく、このような機能不全のダイナミクスの中では、適切なデータに基づいて予測値が算出されることはない。適切なデータとは、企業の収入源の総合的な健全性を示すものである。
多くの時間を費やして検討されている営業指標は、もはやリーダーが何の影響も与えられない情報だ。評価研究の父として、同分野の発展に寄与したダニエル L. スタッフルビームは、「改善するための測定であり、立証するために測定するのではない」という信念を持っていた。
私たちは、売上げや純利益といった主要な業績指標を用いて、事業に関わる数字を「立証」している。しかし、改善を進めるには、他の指標が必要だ。
CEOが結果に対してみずから影響を及ぼし、成長を加速させたいならば、営業組織の中で最終的な売上げに直結する指標に注目する必要がある。どのような企業にも適用できる優れた指標のいくつかを、以下に紹介しよう。