oxygen/Getty Images

量子コンピュータの商用化までには相当な時間を要すると言われているが、それが実現した場合、社会に極めて大きなインパクトを与えることが予想される。特に組合せ最適化問題に高速かつ安価で答えを導けるようになることで、新薬開発、サイバーセキュリティ、金融サービスなどの幅広い分野に劇的な進歩をもたらすことが期待される。本稿では、量子コンピューティングの価値を明らかにするとともに、この最先端技術に秘められた可能性を提示する。


 量子テクノロジーが表舞台に躍り出ようとしている。ゴールドマン・サックスは最近、早ければ5年以内に、量子アルゴリズムを用いて金融資産の価値を予測できるようになるという見通しを明らかにした。また、ハネウェルは、数十年先には量子テクノロジーが1兆ドル産業に成長するという予測を示している

 しかし、なぜゴールドマン・サックスのような企業が、こうした思い切った行動に踏み出し始めたのか。量子コンピュータの商用化は、ことによるとかなり先になる可能性がある。