
さまざまな部門の代表が集まる会議を統括するマネジャーには苦労が多い。異なる部門同士のコラボレーションによって有益な解決策を生み出すはずが、誰も自部門の枠組みから出ようとせず、他部門の発表に質問しないだけでなく、そもそも相手の話を聞いていない状況さえある。悪いことにコロナ禍以来、コラボレーションの輪が小さくなり、サイロ化が進んでいるという。筆者は、サイロ化した個人の集団を連携の取れたチームにするために、それぞれの枠組みを超えた「クロストーク」を提唱する。本稿では、マネジャーが会議の参加者にクロストークを促すための7つの戦略を紹介する。
多分野の専門家が集結するチームに参加しているメンバーに、同僚との関係について尋ねると、誰もが対等でプロフェッショナルとして優秀だという答えが返ってくることが多い。
私たちは、自分はきちんと機能しているチームにいたいと思うものだが、この凡庸な回答の背後には、凡庸をはるかに超えた危険が隠れている。サイロ間のコラボレーションの欠如だ。
さまざまな部門の代表が集まっているにもかかわらず、自分の領域で活動するばかりで、チーム全体の目的達成や団結に貢献しないのは、非常によくあることだ。実際、コロナ禍が始まってから、コラボレーションのサークルが小さくなり、サイロ化は強まる一方だ。
それは部門横断型のミーテイングで、一段と顕著になっている。誰もが自部門の優先事項ばかりを考え、他のメンバーにはほとんど、あるいはまったく関心を示さない。
出席者は、自部門が最新情報を発表する順番になるとようやくメールチェックをやめるが、発表が終わって次の発表に移ると、またすぐに自分の世界に戻ってしまう。そのため、全体を統括するマネジャーは取りまとめに非常に苦労する。
筆者のクライアントであるシャナは、まさにそうした状況にあった。シャナは、機能横断型チームの統括役で、チームリーダーが互いに連携を図るよう促すのに苦労していた。
彼らは会議中、同意してうなずくのだが、いざ会議が終わっても実際に何かがなされることはない。何も進まないことにいら立ったシャナは、会議に同席して様子を観察してほしいと筆者に依頼してきた。
表面的に従順に振る舞うだけでなく、実際に行動を起こしてもらうには、どのように相手のコミットメントを得ればよいのか、シャナにはわからなかった。筆者が会議の様子を観察すると、彼女は会議であらゆる影響力を行使していた。
話し合うトピックについて尋ねても、誰も何も言わないからと、シャナがすべて自分で議題を決めていた。参加者のプレゼンテーションで質問はないかを聞いても、誰も何も言わないので、シャナが質問する。彼女のチームはまるで、「私の部門のことは放っておいてくれ。そうすればいつかお礼をするから」という無言の示し合わせがあるかのようだった。
シャナが抱えている問題は、珍しいものではなかった。サイロ化した個人の集団を連携の取れたチームに変えるには、それぞれの仕事の枠組みを超えた会話、すなわち「クロストーク」を生み出す必要がある。次の機能横断型の会議で参加者にクロストークを実践してもらうための7つの戦略を紹介しよう。