データプロダクトのプロセスと
サプライヤーを管理する

 企業は以前からずっと、財務諸表や規制当局への報告書といった形でデータプロダクトを生成してきた。しかし、その幅広さと重要性は増す一方である。多くの企業にとっての目標は、内部と外部両方の顧客向けに、アナリティクスとAI生成モデルをデータプロダクトに組み込むことだ。

 その好例として、モルガン・スタンレーの「ネクスト・ベスト・アクション」、リンクトインの「もしかして知り合い?」機能、グーグルの多くの検索機能、マスターカードの「スペンディング・パルス」および「ビジネス・ロケーター」などがある。

 とはいえ、前述の諸問題が大いに顕在化し、モデルの構築よりもデータの「前処理」にはるかに多くの時間がかかり、それでもすべての問題が解決されるわけではない。

 幸い、高品質のデータを調達するためのもっとよい方法がある。有形製品の製造業者によって用いられる、プロセスとサプライヤーの管理手法に根差したものだ。

 具体的には、製造業者は自社の製品要件を明確にするためにサプライチェーンに深く関与し、サプライヤーを認定し、品質の測定と、問題の発生源での必要な改善をサプライヤーに要求する。そうすることで、有形製品の「前処理」を最小限にして部品を最終製品に組み込むことができ、品質の向上とコスト削減につながる。

 サプライヤーによる品質管理を自社のデータサプライチェーンに導入している一社は、米国を拠点にたばこ類と無煙たばこを製造するアルトリアだ。同社は、10万店以上のコンビニエンスストアからの日次POSデータを基に、市場に関する報告と分析を完成させる。

 この基盤を管理するのは、アドバンスト・アナリティクス担当バイスプレジデントのカービー・フォーリンの直属チームだ。データ要件は契約書に明記され、店舗が達成できるようチームが支援する。

 アルトリアは最初に、最も基本的な要件に注力した。データの品質は悪く、日次提出分のうち要件を満たしているのは58%に留まっていた。だが、チームは粘り強く取り組み、3年でその品質を98%にまで高めた。基本的な品質のスコアが改善すると、チームはより高度な要件を追加していった。

 フォーリンは次のように述べる。「これは進行中の取り組みです。データの信頼性が高まっているという確証があることで、我々の分析業務で多くの作業が減り、我々の仕事に対する信頼が築かれています」