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各社がデータの利活用を積極的に進める中、データマネジメントの問題に頭を抱える企業は多い。解決に多額の資金を投じているにもかかわらず、なかなか進歩が見られないのが現状だ。本稿では、この問題を「データプロダクト」と「データサプライチェーン」という2つの観点から捉えて、データサプライチェーンを適切に管理するための8つの実践的なステップを紹介する。


 大企業は何十年にもわたり、データマネジメントに悩まされてきた。ほぼすべての企業がこの取り組みに多額を費やしているが、結果は望ましくない

 事態は悪化しているようにも見えないとはいえ、マネジャーと企業がよりデータドリブンになることを目指し、高度なアナリティクスと人工知能(AI)を活用してデータで競争しようと努力する中、この問題の解決はますます喫緊の課題となっている。

 本稿では、「データプロダクト」と「データサプライチェーン」の観点から、データマネジメントの効果的なアプローチを探っていく。

 大半の企業は、いくつかの一般的ながら深刻なデータマネジメント上の問題で苦労している。

 第1に、企業はデータマネジメントの技術的能力に注力してきた。IT部門によって統括され、データの獲得、保存、移動に必要な能力だ。これは立派な取り組みであり、技術的な「配管」の構築はやりがいのある仕事だ。

 しかし、そのために彼らはインフラに大いに注力する一方で、アウトプットをあまり重視してこなかった。アウトプットとはつまり、意思決定に使われ、製品・サービスを差別化し、顧客を満足させるデータプロダクトである。

 第2に、データは組織のさまざまな場所で、さまざまな部門の必要に応じて生成される。後になってデータプロダクトやビジネス意思決定、その他のプロセスで他者に使われることは想定されていない。これを、たとえば車のような有形の製品と比べてみよう。シャシーやスターターなどの部品は、最終製品を念頭に設計されている。

 第3に、大半の組織はデータに関する共通言語を持っていない。データはさまざまなニュアンスを持つ微妙なものであり、文脈や人によって意味が変わってくる。この状況をさらに悪化させているのは、一部の部門は「自分たちのデータ」の所有権を握り、共有を嫌がる場合があることだ。あるいは共有の意思があっても、他部門で効率よく使えるようにするためのニュアンスの説明に時間を割こうとしない。このため、他部門は独自の「ほとんど重複した」データベースを構築することになり、全体の混乱に拍車をかけるのだ。

 最後に、企業は社外で起きている事象にますます関心を高め、さまざまな問いに答えを出すために外部のデータを活用している。しかし、外部のデータはおおむね管理が行き届いておらず、サプライヤーの適格性の認定やデータの品質評価もほとんど行われていない。

 こうした問題への対処に役立つのが、データプロダクトをプロセスの最終成果とする、データサプライチェーン・マネジメントである。

 ここではデータの収集から、整理、データプロダクトの消費まで、データマネジメントの全段階に同等の重点を置く。共通データの有用性と、プロダクト内の最適化された固有データの有用性を両立させる手法であり、内部データにも外部データにも等しく適している。

 データサプライチェーン・マネジメントを導入している企業は比較的少ないが、導入企業からは成果があったと報告されることが多い。