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グーグルやアマゾン・ドットコムは人工知能(AI)を最大限に活用しているが、多くの業界ではAIの導入が進んでいない。膨大なデータがあり、エンジニアを何人も抱える消費者向けのインターネット企業のやり方を真似ようとすれば、自社でAIを活用するのは難しいと考えるのは当然だ。しかし、ソフトウェア中心ではなくデータ中心の発想で開発を進めることで、いかなる業界でもAIの潜在能力を引き出すことはできる。


 人工知能(AI)は計り知れない可能性を持っているが、ほとんどの業種ではまだ定着しているとは言い難い。たしかに、グーグル、バイドゥ(百度)、アマゾン・ドットコムのような消費者向けのインターネット企業は、AIにより大きく変貌した。これらの企業は、何億人ものユーザーを擁し、膨大な量のデータを握っている超巨大企業だ。

 しかし、AIが年間13兆ドルの売上げを生むという予測が現実になるためには、製造業、農業、ヘルスケアなどの業種でもAIが本格的に導入される必要がある。問題は、消費者向けのインターネット企業で実践されているAI戦略(一種類の汎用的なAIシステムで膨大な数のユーザーに対応する)が、他の業種では通用しないということだ。

 このような企業と異なり、伝統産業では自社の多様な用途に対応しなくてはならず、それに合わせてカスタマイズされたソリューションをいくつも導入する必要がある。ただし、これらの業種でAIが役に立たないというわけではない。消費者向けのインターネット企業とは異なるアプローチが必要とされるのだ。

 AIを広く普及させ、その潜在能力を完全に引き出すためには、あらゆる業種の企業幹部が、AIに関する新たなデータ中心のアプローチを採用すべきだ。特にAIシステムを構築するに当たり、AIに学習させたい情報を明確に伝達できるデータを与えるように、細心の注意を払うことが重要だ。

 そのためにはデータに重要なパターンを反映させて、一貫したラベリングをしなくてはならない。それらを徹底して初めて、AIは想定された通りのことをデータから学習できる。言い換えれば、成功のカギを握るのは、コードでプログラムするというより、データでプログラムできるかどうかだ。