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リモートワークの民主化は、女性や黒人のように社会的に弱い立場に置かれた人たちに数々の恩恵をもたらした。新型コロナウイルス感染症の流行が終息に向かうにつれて、オンサイトワークを併用するハイブリッドワークに移行することが予想されるが、リモートワークが社会にもたらしたプラスの影響は維持する必要がある。本稿では、DEIの取り組みを阻害することなく、ハイブリッドな職場を構築するための5つのステップを紹介する。


 それは「大退職」(big quit)と呼ばれている。1年以上におよぶリモートワークを経て対面での働き方に戻る組織が増える中、従業員たちは自分のニーズに合わない職場から離れているのだ。労働者の半数は現在、リモートワークを提供しない仕事には戻らないと答えている。

 従業員にとって朗報は、マッキンゼー・アンド・カンパニーが大企業の役員100人を対象に行った調査によると、大企業の90%がオンサイトワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドモデルを採用していることだ。

 一方で、喜ばしくないことに、ハイブリッドワークへの移行を誤ると社会的不平等を助長し、企業のダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)、すなわちDEIへの取り組みを危うくする恐れがある。

 本稿では、ハイブリッドワークへの移行を誤ることで生じるリスクを説明し、それを回避するための提案をする。ジョアン C. ウィリアムズは、職場のフレキシビリティを促進する政策開発の先駆者で、それらとバイアスの関係を研究している。レイチェル・コーンとミケイラ・ボギンスキーは、組織内の人種や性別によるバイアスの軽減を目的としたウェブサイト「バイアスの遮断」の立ち上げに貢献した。