
HBR Staff/Claudio Casaballe/EyeEm/Getty Images
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米国は高所得国の中で最も妊産婦死亡率が高い。特に民族的・人種的マイノリティの間でそうした状況が際立っている。背後にあるのは、必要な医療に対するアクセスの不平等だ。さらに、妊産婦死亡は病院以外の場所で起きていることが多く、あらかじめリスクの高い母親を特定し、妊娠出産に関わる合併症を防ぐことが欠かせない。そのために有効なのが、電子カルテとAIの併用、遠隔モニタリングやバーチャル診察といったテクノロジーの活用だ。本稿では、妊産婦の社会経済的背景がどのようなものであっても、必要なケアへのアクセスを確保し、死亡や合併症を減らすための具体的な戦略を提言する。
米国は高所得国の中で最も妊産婦死亡率が高い。カナダやフランスの女性と比較すると、米国の女性が出産時の合併症で死亡する割合は2倍である。
この危機的状況は、特に民族的・人種的マイノリティの間で際立つ。米国の黒人と先住民の女性は、白人女性に比べて、妊娠関連の合併症で死亡する確率がはるかに高く、分娩後異常出血や妊娠高血圧症候群、敗血症といった重篤な合併症に母体が罹患する率も高い。