
ビジネスレビュー会議とは本来、事業やプロジェクトの進捗を確認し、目標とのギャップを埋めるために何をすべきかを検討する場だ。しかし、残念なことに、ほとんどの組織でそうなってはいない。マネジャーが自身の成果を得意げに話したり、プレゼンを聞いた幹部が自分の賢さを披露したりする「劇業」になっているのだ。本稿では、ビジネスレビュー会議の生産性を上げるための3つのステップを紹介する。
たいていの組織では、ビジネスレビュー会議に膨大な時間と労力を費やしている。重要なプロジェクトやトップラインの売上げ、さらには会社全体やユニットの業績に関するものもある。
その目的はいずれも、事業やプロジェクトが戦略目標に対してどのような状況にあるのか、どこにギャップがあるのか、そしてそのギャップを埋めるためには何が必要なのかについて、上級幹部とオペレーティングマネジャーの間で対話を行うことだ。
ビジネスレビューは、うまく機能すれば強力なツールとなる。レビューが行われなければ、計画は軌道を外れ、中止すべきプロジェクトがリソースを浪費し続け、成果が芳しくなくても認識も修正もされず、優秀な人材が認められず、もっと早くに対処すべきだった問題に驚かされることになるかもしれない。
ただ残念ながら、多くのビジネスレビュー会議は内容よりもショーの側面が強く、「ビジネスレビュー劇場」になっている。
その一例を紹介すると、筆者は数年前、多角経営を実践する製造業のCEOと仕事をした。各ビジネスユニットは、1年のうち数週間をかけて四半期のレビューの準備をしていた。レビューでは、マネジャーが現在の業績数値を提示し、数値の異常を強調し、軌道修正のためにしていることを説明する。CEOやCFOが質問をすると、マネジャーたちは事業を完全に熟知していることを示すように答えていた。
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しかし、CEOとCFOは感心しなかった。ほとんどの事業は順調に推移していたが、顧客の高齢化、マクロ経済の変化、市場への新規参入企業、新製品開発やイノベーションの不足など、将来に向けて不安な兆候があった。ビジネスレビューではいつもこうした問題を掘り下げる時間はなく、質問しても、すでにどう対処しているかという説明で片付けられることがほとんどだった。
筆者の経験では、これは特別なケースではない。多くのビジネスレビューは、真の会話や重要な質問、フォローアップのアクションが欠けていることが多い。
では、過去のレビューのために貴重な時間を無駄にするのではなく、将来の準備に役立つ会話を生み出すに、企業はどうすればよいのだろう。
なぜビジネスレビュー劇場になるのか
まず、問題の根本を理解する必要がある。ビジネスレビュー劇場が蔓延している基本的な理由は2つある。
1つは、上級幹部がレビュー会議のアジェンダを適切に設定していないことに起因している。マネジャーは何も指示されなければ当然、好調な分野に焦点を当てたり、ビジネスのあらゆる側面のレビューをしようとしたりする。
もう1つは、ビジネスユニットやプロジェクトのマネジャーが、レビューによって自分たちの仕事の不備が明らかになり、それによって自分たちの印象が悪くなったり、上級幹部による監視や介入の対象になったりするのではないかと懸念していることだ。上級幹部が過去に、従業員を陥れるような質問をして恥をかかせたり、従業員が間違ったことをした時に同僚の前で叱責したりしていると、こうした懸念は高まる。
より生産性の高いビジネスレビューにするには、この2つの問題を解決する必要がある。筆者が長年にわたり数百社の企業と関わってきた経験から、3つの重要なステップを紹介する。