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多くの企業がDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に対する投資を行っている。当然ながら取締役会にも多様性が求められているが、トークニズム(形式だけの少数派抜擢)に終わっている会社も少なくない。社会や市場の要請を形式的に満たすだけでなく、文化変容を成し遂げ、DEIのさまざまな恩恵を受けるために、企業は何をすべきなのか。本稿では、その実現に有効な3つの指針を紹介する。


 1年近くにわたる審査の末、米国証券取引委員会(SEC)は、ナスダックの新たな上場ルールを承認した。ナスダックは、企業の取締役会のダイバーシティ(多様性)を向上させ、インクルージョン(包摂)を強化することを目的に、すべての上場企業に取締役会の多様性に関する情報開示を義務づけた

 具体的には、標準的な基準に従い、過小評価グループから少なくとも2人の取締役を――「性自認が女性の人が最低1人と、人種的マイノリティもしくは性自認がLGBTQ+の人が最低1人」を――起用するものとし、その基準を満たしていない場合は理由を示すことを求めたのだ。