
新製品のローンチにせよ、プロジェクトの完遂にせよ、締め切り直前の重要な時期には、過酷な労働が強いられることが少なくない。この「クランチタイム」には、ストレスやプレッシャーから燃え尽きが生じがちだ。リーダーとしては、成果を上げるためにチームにある程度の負荷をかけるのはやむをえないと思うかもしれないが、メンバーの心身の健康を犠牲にしては元も子もない。本稿では、米陸軍将校を対象に行った調査の結果から、リーダーが部下を燃え尽きさせることなく、クランチタイムを乗り切り、成功を収める方法を紹介する。
成功を収め、そしてそれを維持するために、多くの企業は自社のチームに並々ならぬ要求を課している。
世界的に有名な投資銀行、法律事務所、コンサルティングファームは、従業員に過酷な労働を強いることで知られている。ソフトウェア開発者は、新製品発売前の最後の数週間に強いられる、長くストレスフルな時間を「クランチ」と表現する。
有能なリーダーは、クランチタイムには、従業員に多大な負担をかけずに優れた成果を達成するのは困難であることを理解している。しかし、従業員の精神的・肉体的な健康を犠牲にして成功を収めても、それは「ピュロスの勝利」にすぎない。
では、どうすればリーダーはチームがバーンアウト(燃え尽き)することを防ぎながら、この「クランチ」をうまく切り抜けることができるのだろうか。
この問いに対する答えを見つけるため、筆者らはストレスやプレッシャーの多い環境に身を置く米陸軍将校を対象に調査を行った。
研究の結果、仕事を遂行することと、部下へのインパクトを管理することのバランスを取る能力は、パフォーマンスの高い組織に特徴的なリーダーシップコンピテンシーであることが明らかになった。