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上司が自分の立場を利用して、部下を貶めたり、失敗するように仕向けたり、あるいは否定的なつくり話を上層部に吹聴して本人に問題があると思い込ませたりする。このようなガスライティングは、心理的虐待の一種だ。実際にリーダーが現場を目撃することは稀かもしれないが、そのような問題が起きている兆候を見つけたり、被害を受けた本人から訴えがあったりした場合には、すぐに行動しなくてはならない。マネジャーが従業員にガスライティングを行っている疑いがある場合に、リーダーが取るべき5つの行動を紹介する。


「あなたが経営会議を欠席されたのは残念でした」と、エグゼクティブ・バイスプレジデントがメッセージをくれた。「あなたの上司から素晴らしい提案を受けました。あなたは予定が合わずにプレゼンできなかったと彼から聞きました。近いうちにまた話しましょう」

 その上司は、私が何週間もかけてまとめた提案だから、当然私が発表すべきだと、直近の1対1のミーティングで熱心に勧めていた。私は会議の詳細を送ってもらえるように依頼し、その後メールやメッセージを入念に確認したが、返信はなかった。彼はそのまま、私抜きで提案をプレゼンしたのだ。

 私を会議から締め出し、会社のリーダーシッププログラムのリストから除外しておきながら、私には昇進の見込みがあると言う。その横で、他のマネジャーや上層部には、私のパフォーマンスについて否定的な発言をする。

 それらはすべて、この上司との関係を警告する危険信号だった。この「ガスライティング」は、私が最終的に会社を辞めるその日まで、激しさを増しながら続いた。

 ガスライティングとは、相手を服従させ、操作しようとする心理的虐待の一種だ。わざと嘘をつき、相手が失敗するように仕向ける。ある言動を取っておきながら、何もしていないと否定する。相手を貶め、操り、本人に問題があると思い込ませる。

 私の場合もそうだったが、職場でのガスライティングは、マネジャーがその立場を利用し、部下に対して行うケースが多い。

 あらゆる規模の組織が、リーダーの育成に躍起だ。世界全体で年間3700億ドルがリーダーシップ研修に費やされている。にもかかわらず、調査によれば、上司の30%近くが「有害」だという。リーダーシップ研修は、解決策の一端でしかない。

 リーダーは、ガスライティングが行われていることに気づいた時には、行動に出て、自分の部下であるマネジャーに責任を取らせなければならない。以下に、マネジャーによる従業員へのガスライティングが疑われる場合に、リーダーがすべきことを5つ紹介する。