
中国という巨大市場の消費者から支持されるために、自社製品をローカライズする企業は珍しくない。ケンタッキーは豆乳や揚げパンや粥を販売し、スターバックはメニューにお茶を追加した。しかし、ローカライズが常に効果的とは限らない。外国製品ならでは特徴を取り除くことで、ブランドの魅力が失われてしまうのだ。本稿では、中国市場に参入する際に検討すべき3つのポイント提示する。
中国で消費者層が拡大し、国際的なブランドへの興味が高まるにつれ、多くのグローバル企業は中国市場のニーズに応えるべく、商品のローカライズに大きく投資するようになった。
中国のケンタッキーフライドチキンは、豆乳、揚げパン、粥を販売している。フォルクスワーゲンは、中国向けに特別設計された一連の新モデルを売り出した。スターバックスは、コーヒーを飲まない人が多くいる中国で顧客によりよいサービスを提供するために、数種類のお茶をメニューに加えた。
こうした戦略は理解できるものであり、概して効果的だ。とはいえ場合によっては、かなりの逆効果をもたらすこともある。
筆者らは、ローカライズがうまくいく場合といかない場合について調べるために、世界各地に拠点を持つ多国籍企業の100人を超える幹部およびマネジャーを対象に、一連の綿密なインタビューを実施した。
ブランドによる新市場進出の成否を分ける要因は、当然ながらたくさんある。取り組みにコミットメントする度合い、ガバナンス体制、リーダーシップ、戦略などはその一部だ。
一方、提供する製品自体も重要な要素である。そして筆者らの研究から、従来型のローカライズのアプローチは、あらゆる製品に有効なわけではないことが判明した。
むしろ、製品によってはローカライズはまったく不要であり、多くの製品には部分的なローカライズという戦略が最も適している。つまり、製品や関連する事業プロセスの一定部分は共通に保ち、限られた少数の要素のみを新市場の環境に合わせるやり方だ。