
従業員を支援し、組織のDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を実現することは、喫緊の課題だ。これまでも多くの女性リーダーがそうした取り組みを牽引してきたが、問題はその努力が正式な職務として認識されず、評価にもキャリアアップにもつながっていない点だ。極めて重要なはずの仕事が「オフィス家事」に格下げされ、ますます負荷が増えた女性リーダーは燃え尽き、離職のリスクも高まる。そうなれば組織としても大切な人材を失うだけでなく、DEIを推進すると言いながら、依然として地位が低い仕事だと見なしているというメッセージを送ってしまうことになる。本稿では、DEI推進という仕事を正しく評価し、特にその多くを担っている女性リーダーにきちんと報いるべきはなぜかを論じる。
この1年半の出来事は、従業員の支援をさらに拡充してDEI、すなわちダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)を実現するための取り組みを増やすよう、企業に激しいプレッシャーをかけてきた。
女性リーダーは、この要請に対処し、それに伴う追加業務を引き受けてきたが、その功績は認められず、相応の報いも得ていない。
その結果、この極めて重要な業務は「オフィス家事」に格下げされる危機にある。つまり、会社に恩恵がもたらされる必要不可欠な業務と活動だが、その価値が認められず、正当に評価されることもなく、キャリアアップにもつながらない。
これは、筆者が共同執筆者として参画したリーンイン・オーグとマッキンゼー・アンド・カンパニーによる最新の報告書「ウィメン・イン・ザ・ワークプレイス」の2021年版における主な発見だった。この報告書は、米国企業で女性の置かれた現状について、400社以上の専門職6万5000人以上(エントリーレベルからCレベルの経営幹部まで)を対象に行った調査結果をまとめたものである。
今回の調査では、すべてのマネジメントレベルで、女性はよきリーダーとして、一貫して従業員のサポートにあたり、DEI推進に熱心に取り組んでいる姿が浮かび上がった。
女性マネジャーは同じようなポジションの男性と比べて、従業員がワークライフバランスの問題を解決するのを助け、その仕事の負荷を管理可能なレベルに抑え、感情面のサポートを提供する。また、女性マネジャーは、非白人女性に対する偏見に声を上げ、彼女たちを擁護して機会が与えられるよう主張するアライとして行動する可能性が高い。最後に、女性リーダーは男性よりも、従業員リソースグループ(ERG)に参加したり、DEI委員会をリードしたりするように、正式な職務には含まれないものの、DEIに関わる仕事に時間を割く可能性が高い。
マネジャーレベル以上の女性のうち、黒人女性、LGBTQ+(性的少数者)の女性、そして障害を持つ女性がDEI推進に費やす時間は、女性全体平均の2倍以上だった。