アノマリー・ドリブンの戦略を
実践する方法
「ネクスト・ビッグ・シング」(次に来る大きな流れ)はトレンド分析の一環として行われるが、市場動向を読み違えるおそれがある。トレンドが確立された時点で、そのトレンドがもたらすチャンスは、競合他社によってすべて奪われている可能性が高いからだ。事業計画にトレンドを反映させる必要はあるかもしれないが、もはやそれは競争力を高めるためというよりも、ただ競合に追い付くためのものになってしまう。
まだ形になる前のトレンドをビジネスに役立てるには、そのトレンドが顕在化していない段階で見極めなければならない。つまり必要なのは、完全な当てずっぽうではないものの、トレンドに名前がついたり、広く知られたりしていない時点での見極めだ。その段階では、トレンドの存在を示す兆候はただの「アノマリー」──何らかの形で意外性はあるものの、意味や重要性ははっきりしない微弱なシグナル──にすぎない。
もちろん、大半のアノマリーは意味のあるトレンドにならずに終わる。だが、トレンドになるものもわずかにある。そして、そのようなアノマリーを早期に発見し、事業を適応させた企業は、競争優位を獲得する。