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相関関係と因果関係の違いを学んできたはずにもかかわらず、ビジネスリーダーも政治家もメディアも、相関に基づいて因果を主張するのはなぜだろうか。データを都合よく解釈して、誤った材料をもとに意思決定を下せば、大惨事を招く可能性すらある。そのような事態を避けるためには、組織が「実験」の価値を認めて、意思決定プロセスに組み込むことが重要である。


 相関関係は因果関係を意味しないと、私たち誰もが教えられてきた。にもかかわらず、多くのビジネスリーダー、選挙で選ばれた公職者、そしてメディアはいまだに、誤解を招く相関関係に基づいて因果関係を主張する。それらの主張は精査を経ていなかったり、誇張であったり、誤った形で判断材料として使われたりすることがあまりに多い。

 事例は枚挙にいとまがない。心血管疾患のリスクが入浴によって低下しうるか否かを知るために行われた、先頃の健康調査について考えてみよう。分析によると、定期的に入浴する人は心血管疾患や脳卒中の発症率がより低い傾向にあった。執筆者らは、このデータは入浴の「有益な効果」を示すと結論づけた。