「真のフレキシビリティ」を
どうすれば実現できるのか

 新型コロナウイルスの感染拡大で不確実な状況が続き、組織が暫定的に、どのように業務を遂行していくかを検討する中、リーダーと従業員の双方がフレキシビリティ(柔軟性)のメリットを声高に主張している。しかし実際のところ、仕事におけるフレキシビリティとはどのようなものだろうか。また、チームや組織がフレキシビリティを活かしているかどうかを、どうすれば判断できるのか。

 筆者らは、あらゆる業種の組織──専門サービス企業やIT企業から病院、小売店、製造施設まで──において、フレキシビリティがどのように管理されているかを調査する研究者である。この仕事を通して、各組織のリーダーに柔軟性をどう管理しているか(していないか)を尋ねてきた。以下に挙げるのは、回答の典型例だ。

「勤務スケジュールの特別措置を設けることで、昼食休憩でジムに行きたい、講座を受けたいという従業員の要望に配慮しています」
「家族の病気や交通事故といった事態に、休暇を取得することを認めています」
「部署の要員配置やスケジュールの都合上、柔軟性はそれほどないと思います」
「金曜日の夜6時から全員参加のZoom会議を行うことが多いです。主要スタッフの時間が空くのが、そのタイミングだけなので」
「8つの異なる勤務スケジュール候補を提示しても、週末に生産を維持する要員を十分に確保できません。よくない状況です。それを生産が滞る理由にしたくはないのですが」