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気候変動対策に積極的に取り組む企業がある一方、その対策が不十分な企業に対する反発が高まっている。とりわけ「グリーンウォッシング」、つまり口先だけで行動が伴わない企業に向けられる視線はいっそう厳しくなっている。リーダーが時代の変化と向き合い、しかるべき行動を取り、最終的には若手世代の信頼を勝ち取るために何をすべきか。本稿では、企業がアクティビストとして行動し、真の変化を起こすための5つの手法を紹介する。


 2021年11月、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で演説したバラク・オバマ元米国大統領は、聴衆に次のように問いかけた。「私たちが生き延びるために必要とされる行動と、いま政治的に実現可能に見える行動の間には、大きなギャップがあります。そのギャップをどのように埋めればよいのでしょうか」

 そのためには集団行動が欠かせないと、オバマは述べた。「市民の意志と情熱とアクティビズムを結集させることで、政府や企業、そしてそれ以外の誰もがこの課題と向き合うように、背中を押す必要があるのです」

 企業はいま、自社が気候危機に対して十分な行動を取っていると主張し、それが意義深いものであることを説明できなくてはならない。もしできなければ、米国証券取引委員会(SEC)をはじめとする政府機関からアクティビスト、そして訴訟当事者まで、さまざまな方面から批判を浴びるリスクがある。

 たとえば、シェル(旧ロイヤル・ダッチ・シェル)はオランダの裁判所から、気候変動問題の解決に寄与する法的責任があると認定された。裁判官は、シェルの現在の気候変動対策が「十分に具体性があるとはいえず、細かな留保事項ばかりである」と断じた

 気候変動対策が不十分な企業には、コンシューマーアクティビズムによる批判の矛先が向かいかねない。データによれば、米国の成人の半数は、企業に抗議するために製品やサービスの購入をやめた経験があるという。

 このような問題は、企業にとって、これまでになく大きな意味を持ち始めている。近年、特に「グリーンウォッシング」を行う企業、つまり口先では立派なことを言っているが、実際の行動が伴わない企業に対する反発が高まっているからだ。それらの反発は、理にかなっているといえるだろう。

 企業リーダーは時代の変化と向き合い、しかるべき行動を取り、最終的には、いままさに社会の主役に躍り出ようとしている世代の信頼を勝ち取るために、何をすべきか。企業に対して、言葉だけでなく、行動を起こすよう迫る若い世代のアクティビストの声に、企業はどのように応えればよいのか。

 気候変動の問題に関して言えば、ビジネスと政治の境界線は極めて曖昧だ。そして、私たちの誰もがアクティビストになる必要がある。では、具体的にどのような行動を取ればよいのだろうか。

 一般的な辞書によれば、アクティビストとは「何らかの大義、とりわけ政治的大義に向けて、特に積極的に行動し、熱心に支持する人」と定義されている。筆者の一人ラブのようなビジネスアクティビスト、あるいはエクルスのようなキャピタルマーケットアクティビストは比較的新しい存在だが、その数は次第に増え始めている。

 たとえば、ダノンの元CEOエマニュエル・ファーベルは最近のインタビューで、次のように述べている。「私は自分自身をビジネスアクティビストと位置付けています。ビジネスが問題の解決策を生み出すこと、それも根本的な解決策を生み出し、ビジネスが問題解決策そのものになるべきだと主張しています」

 気候変動という問題の重大性を考えると、企業がアクティビズムに乗り出すことは、単にそれが必要だからという理由に留まらない。喫緊の課題なのだ。

 この新たなビジネスのあり方を実践するリーダーが増えている中、著者らはビジネスアクティビズムの5つの手法に注目してきた。これらのアプローチを採用することで、企業リーダーはグリーンウォッシングに陥ることなく、真の変化に貢献することができる。