(1)タスクの重要性を見極める
人は割り込んできたタスクが重要であると思えれば、そこに時間を割く価値があると考えるようになる。それまで自分が取り組んでいた仕事より「もっと」重要だと思えばなおさらだ。そのため誰かのじゃまをする前に、あなたが頼みたいことが相手にとって優先すべきものかどうかを考えよう。
(2)相手の仕事を山積みにしない
すでに過剰な負担を感じている時に割り込みが入ると、否定的な反応を示す傾向があることも研究でわかった。仕事を山積みにしないために、相手の現在の仕事量を考えよう。その人が多忙を極めているなら、(緊急のタスクなら)割り込む相手を変え、(緊急性がないタスクなら)その人の仕事が減るまで待つことを検討する。
(3)割り込む相手を見極める
誰かに仕事のじゃまをされた時、自分がその仕事の適任者でないことがわかると腹立たしさを覚える。たとえば、調査に参加したオフィスアシスタントは、梱包材を探してほしいと頼まれた時、その人が自分で簡単にできることだと感じたので否定的な反応を示した。
誰かのオフィスのドアをノックする前に、こう自問しよう。その人物は、この新しいタスクを引き受けるのにふさわしい人物なのか。あなたが助けを必要とするタスクに最も適しているのは、どの役割を担っている人か。同じようなタスクを普段から担当しているのは誰か。
依頼するのに最適な人物を前もって見極めておくことで、割り込みが肯定的に受け入れられやすくなる。
(4)忙しさのサインに注意を払う
調査前の室内実験から、割り込みは「適切」と感じられるタイミングで発生すると、より肯定的に受け取られることがわかった。つまり、割り込みをしようとしている相手が別のタスクに没頭していない時か、通常業務で休憩が必要になる時を待つのだ。
割り込みに適したタイミングかどうかを判断するために、相手が出しているサインに注意を払おう。ドアを閉めたまま仕事をしているか、それとも開けたままか。オンライン上で「不在」または「対応可能」と表示されているか。カレンダーでその時間帯がふさがっているか。
このようなサインは、あなたの割り込みがどう受け止められるかを知る手がかりになる。
(5)時間的負担を減らす
研究では、割り込みを処理する時間に対する認識が、その中断をどのように感じるかに影響することがわかった。長引く、あるいは「必要以上に」時間がかかると見られると、否定的な感情を引き起こしやすくなる。
相手の負担をどのように軽減し、相手の時間をどうすれば有効に使えるかを、創造的に考えよう。割り込ませるタスクの内容をもっと簡潔に示すことができないか。誰かにそのタスクを引き継ぐ前に、自分でできることはないか。
重要なのは、自分がどのように受け取られるかということだ。このような細かな配慮はたいしたことではないと思ったとしても、相手の時間を尊重する姿勢を強調しながら割り込むことが、相手からの反応に大きな影響を与える。
(6)事前に伝える
割り込みは当然ながら、予期せぬものであることが多い。しかし、あえて唐突に依頼する必要がないこともある。場合によっては、近いうちに仕事の中断を依頼したいと相手に伝えることができる。
たとえば、ウェブサイトのデザインが完成した後に同僚からフィードバックをもらう予定であれば、来週中に連絡すると伝えればよい。そうすれば、たとえ正確な時期は未定だとしても、同僚は仕事の中断に備えて、そのタスクをこなすための時間を確保することができる。
多くの組織が一過性ではないハイブリッドワークへの移行を進めているいま、職場でのコミュニケーションの取り方について、これまで以上に積極的に考えることが重要だ。
フルタイムでもそうでなくても、オフィスに復帰することで、すべてのコミュニケーションをオンラインで行っていた時は不可能だった、対面による割り込みの機会が復活する。同時に、インスタントメッセージやビデオ通話などデジタルツールに対する依存度が高くなると、割り込みの障壁(および割り込みが適切かどうかを判断するための目に見えるサイン)が大幅に減少するため、課題が生じる。
働き方を問わず、割り込みをする方法には良いものも悪いものもある。しかし、複雑で、これまでとは異なる状況に置かれる中、「良い」割り込みとは何かを考えるうえで、すべての人が変化する規範に注意を払うことが求められている。
"How to Interrupt Someone's Workday - Without Annoying Them," HBR.org, February 17, 2022.