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コロナ禍が従業員の心身の健康を蝕み、ウェルビーイングを低下させたのは確かだ。ただし、パンデミック前の「ノーマル」に回帰することが理想だとは言えない。女性、なかでも非白人女性は、コロナ禍以前から不平等な労働環境で働くことを強いられていたからだ。大退職時代に女性従業員の流出を食い止めるために、性別や人種を問わず、誰もが平等な環境で働くことのできる職場をどうすればつくれるのか。


 2年あまりのコロナ禍は、労働者の健康やウェルビーイングに甚大な影響を与えてきた。所得の減少や失業に加えて、歴史的な公衆衛生の危機の渦中で仕事をしたり、仕事を探したりすることによるストレスが、彼らに大打撃を与えている。

 リモートワークが文字通り、命を守り、仕事を守る方法だったのは間違いないが、これは大きな代償をもたらした。若手は仕事上の重要な人間関係を構築することが難しくなった。いつでも仕事ができる柔軟性は、常に働き続けることにつながった。働きながら子育てする親や介護者は、限界を超えた無理を強いられた。一人暮らしのリモートワーカーは、ロックダウン中に孤立の過酷さに耐えていた。