
チームの創造性を高めるために、企業はさまざまなトレーニングを実施している。しかし、その取り組みのほとんどがうまくいかないか、むしろ創造性を阻害することさえある。論理ではなく非論理で考えるよう促し、チームに創造性を発揮してもらうためには、ブレインストーミングに代表される既存の方法論に頼るべきではない。本稿では、筆者が提唱する手法を実践するための3つのポイントを紹介する。
規模やセクターを問わず、ほぼすべての企業がホワイトボードを使ったブレインストーミングやデザイン思考など、創造性(クリエイティビティ)に関するトレーニングを導入している。いまや10億ドル規模の産業だが、それも当然だ。創造性はイノベーションと起業家精神の主要なエンジンであり、レジリエンスの重要なドライバーなのだ。
ただし、問題がある。このようなトレーニングが機能していないのだ。それどころか、専門家のバイアスや偽りのイノベーションをはびこらせている。一時的に士気を高めることはできても、長期的に燃え尽き症候群(バーンアウト)を軽減する効果はほとんどない。研究が示す通り、創造性のトレーニングは概して、最良の場合でも不適切、最悪の場合は逆効果になっている。
何がいけないのか、どうすれば解決できるのかを理解するために、筆者の研究室はシリコンバレーのスタートアップや米軍の特殊作戦部隊、シカゴ大学ブーススクール・オブ・ビジネス、フォーチュン50企業など、さまざまな組織のチームと協力して研究を行った。
その結果、創造性を育む方法に関して、従来の常識の多くを覆すようなことがわかり、筆者らも驚かされた。本稿では先頃『ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンス』に発表した論文の要約を紹介するとともに、その方法がビジネスの現場にどのような意味をもたらすかを説明する。