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インクルーシブリーダーとして、メンバー全員を公平に扱おうと心がけるのは重要だ。しかし、実際には正反対の行動を取っていることがあまりに多い。多様性の価値を頭では理解していても、自分とは異なるタイプの従業員から距離を置こうとする社会的・心理的メカニズムが働くからだ。筆者らは「マントラ」の活用を提唱する。本稿では、自分の意図に沿った行動を起こすために、心の中でマントラを唱えることがなぜ有効かを論じたうえで、自分のマントラを考案するための具体的なステップと実践例を紹介する。


 チームの結束力は、組織の成功、イノベーション、そして帰属意識を醸成するために不可欠だ。現代のリーダーがいまなお直面している最大の課題の一つは、メンバー全員が公平に扱われ、同じように大切にされていると感じられるインクルーシブ(包摂的)な文化を構築することだ。

 筆者らは、多様なチームをリードすることに関して、数多くの経営幹部と学生に教えてきた。その結果、ほとんどのリーダーが、自分ではインクルーシブな行動をしていると思っていても、気づかぬうちに正反対の行動を取っていることがあまりに多いことがわかった。