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新型コロナウイルスの感染拡大、そしてロシアのウクライナ侵攻は、世界経済の状況を塗り替え、「グローバリゼーションの終わりが近い」という主張を耳にするようになった。しかし、そこまでの事態は起きないと筆者らは予想する。本稿では、「貿易」「資本」「情報」「人」という4つの国際的なフローの推移をもとに、グローバル化の現在と未来について論じる。


 ロシアのウクライナ侵攻を機に、「グローバリゼーション終わりが近い」という予測再び飛び交っている。同じような予測は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック始まった当初聞かれた。しかし、国境を越えたグローバルなフローは、パンデミック初期以降、力強い回復を見せている。

 筆者らの見解として、この戦争によって多くのタイプの国際的な事業活動が縮小し、一部では地理的な変動も生じるだろうが、国際的なフローの崩壊につながることはないと考えている。

 その理由を理解するために──そして自社への影響を考える一助として──、まずはウクライナ戦争勃発前に、グローバルなフローがどのように推移していたかを踏まえておくことが重要だ。

 筆者らのチームがニューヨーク大学スターンスクール・オブ・ビジネスのセンター・フォー・ザ・フューチャー・オブ・マネジメントで開発したDHLグロバール・コネクテッドネス・インデックスは、貿易、資本、情報、人の国際的なフローに基づき、グローバリゼーションを測定するものだ。

 本稿では、これら4つのカテゴリーにおける最新のトレンド、およびウクライナ戦争がその軌道をどう変化させるのかを示す初期のサインについて考察する。