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量子技術は社会に革命をもたらすと言われている。商業利用可能な量子コンピュータの開発には時間を要するだろうが、この技術が破壊的変化を引き起こす前に企業は何をすべきか。筆者らが、量子コンピューティングに投資するインフォシスの取り組みについて調査した結果、同社は古典コンピュータと量子コンピュータを融合させたハイブリッドなアプローチを採用することで、顧客にサービスを提供し、将来に向けた足場を固めていることがわかった。


 科学者は数十年にわたり、量子コンピューティング――2進数の信号ではなく、確率を用いる新しい計算手法――の可能性について、理論化を進めてきた。近年、民間・公共の両セクターで量子コンピュータ開発への投資は飛躍的に増えており、ある報告では2021年だけで8億ドルを超えると推定されている。

 ゲノム配列の決定、輸送経路の最適化、暗号の解読、新素材の開発など、あらゆるものに量子技術は革命をもたらしうる。しかし、量子コンピュータは研究室に存在しても、商業利用できる汎用量子コンピュータはまだ存在しない。量子技術が実際に、メインストリーム市場に登場する前に、企業はその技術がもたらす可能性のある破壊的変化にどう対応すればよいのだろうか。