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イノベーション浸透の成長プロセス
先進諸国では、ビジネスプロセスのコモディティ化が進むなか、海外へのアウトソーシングや移転が推し進められている。そのため、イノベーションの波を起こさなければならないという厳しいプレッシャーにさらされるようになった。
イノベーションの失敗は、すなわち差別化の失敗であり、また資本調達に必要な売上げと利益の獲得に失敗することでもある。イノベーション・プロセスはダーウィンの進化論に例えられることもあるが、ここで勝利を手にするには、全員が知恵を振り絞らなければならない。
まず、イノベーションの領域がいかに広範囲であるか──この点を正しく理解する必要がある。たとえば、伝説的な技術をはじめ、シリコンバレーのノウハウを生み出した破壊的イノベーションのごとく人口に膾炙しているものもある。その一方で、次の分類に示すように、日常的かつ効果的なイノベーションが存在することも忘れてはならない。
破壊的イノベーション
突然、市場が生まれ、莫大な富をもたらす新たな源泉に見えることから、マスコミなどからとりわけ大きな注目を集める。第1世代の携帯電話で躍進したモトローラ、急速に大ブームとなった〈ポケモン〉のトレード・カード・ゲームなど、技術の不連続性が発端になる場合が多い。
アプリケーション・イノベーション
既存技術を新規市場に導入して、新たな用途に対応する。耐障害性コンピュータ(一部に故障が発生しても作動し続けるコンピュータ)を金融市場向けに応用して、ATMを開発したタンデムコンピューターズ、衛星利用測位システムを自動車市場に導入して、テレマティックス・サービス(車載情報サービス)を実現したオンスター[注1]の例が挙げられる。
製品イノベーション
既存市場で定番となった製品やサービスを次のレベルに引き上げる。たとえば、インテルが新しいマイクロプロセッサーを発売する場合、あるいはトヨタ自動車が新車を発表する場合などである。
業績向上(ゴルフ・ボールの〈タイトリスト・プロV1〉)やコスト・ダウン(ヒューレット・パッカードのインクジェット・プリンター)、利便性の向上(パームの携帯情報端末)などに重点が置かれる。