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複雑な課題を解決し、変革を成功させるには、多様な能力を持つ人たちが集まり、質の高い意思決定を行うことが欠かせない。このような部門横断的な取り組みで信頼を重視しすぎると、せっかくのコラボレーションが失敗に終わる。信頼はチームワークやコラボレーションの必須条件ではないからだ。本稿では、信頼を重視することが、コラボレーティブな意思決定を妨げ、惰性を生む理由を説明し、リーダーが信頼構築と変革実行の間で適切なバランスを取ることの重要性を論じる。


 組織内で対人信頼感を構築するには長い時間を要することが、研究で明らかにされている。

 異なるグループの人々が集まり、部門横断的なコラボレーションで重要な戦略課題に対処する場合、彼らが一緒に仕事をしたことがなければ個人間の信頼は乏しい。スタートアップ企業が事業拡大に向けて新たに経営幹部を採用したり、既存企業が意思決定プロセスやマネジメントチームに新しい能力を持った人物を迎え入れたりする場合も同様だ。