社員と会社は対等であり
ともに成長を目指す関係である
コロナ禍をきっかけに、米国ではいま、自主的な退職が記録的な増加を示している。ソニーの主要6事業のうち、ゲームや音楽、映画事業は米国を主な拠点としており、「グレート・レジグネーション」(大退職時代)と呼ばれるこの現象を、私たちも注視しているところだ。
2022年5月に行われたグループ各社の人事トップによる定期的な会議では、この問題への対応が議題に上った。米カリフォルニアに本社を置くソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、社員の意識調査や人事システムを通したデータの把握を通じて、グレート・レジグネーションの影響を分析し、大規模な退職の兆候にも計画的に対処する「グッド・レジグネーション」という戦略的アプローチを紹介してくれた。
そこでは、3つの視点が多面的に考慮されていたことが印象的だった。すなわち、当然、何よりもまず効果的な手段で残留を試みること。次に対話やデータを通じて、退職の予兆をできる限り早期に察知し、予期せぬ退職を最小限に留めること。そして、退職という選択肢についても日頃からオープンに語り将来に向かって良好な関係を構築することで、仮に退職した場合も、その人の将来のキャリアの中で、ソニーという場が常に挑戦の選択肢であり続けるようにすることだ。