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オフィス勤務の義務化に象徴されるように、従業員の働く場所に関して、強硬な姿勢を示す企業が増えてきた。しかし、従業員が働く場所と時間を自律的に選択できるようになれば、従業員体験の向上につながると同時に、組織が必要とする秩序を確保できるようになると、筆者らは指摘する。本稿では、自律性と秩序を両立するための3つのステップを紹介する。


 グーグルアップルなどの大企業は、全社員に対して、毎週一定日数のオフィス出社を義務化し始めた。これに伴い、柔軟性と自律性をめぐる議論が続いている。

 自社の従業員がどこで働くべきかに関して、強硬な姿勢を示す組織が増えている。そして、従業員が自分の働き方を決める際、どこまで発言権を与えられるべきかという問題に、再び焦点が当てられている。自分がどこで、いつ仕事をするのか自分で決められるようにすべきなのか。あるいは、組織側がその決定を下すべきなのか。

 パンデミック後のオフィス再開をめぐる議論が始まる前から、リーダーが取るべき最善のアプローチは何かについて、さまざまな見解があった。その結果、「どこで、いつ、どのように働くかは従業員に選ばせよう」から、「在宅勤務日を従業員に選ばせず、マネジャーが指定すべき理由」に至るまで、いろいろな記事が書かれた。

 このように議論が幅広く展開される中、リーダーシップが従業員の働き方を管理すべきだと提唱する人は、従業員のニーズに鈍感だと見なされがちだ。また、従業員が働き方を完全にコントロールすべきだと提唱する人は、組織のニーズを理解していないと思われている。

 しかし多くの場合、どちらも的外れだ。適切な形で、従業員に働く場所と時間の選択を任せれば、従業員体験を向上させることができる。また、リーダーは、組織の重要な戦略意思決定を行うために必要な秩序と予測可能性を確保できる。

 リーダーはオフィススペースとテクノロジーを活用し、従業員をエンパワーすることで、彼らの働き方に秩序をもたらすことができる。従業員に働く場所と時間の選択を完全に任せる場合も、それは可能だ。本稿では、リーダーがそれを実践するためのロードマップを提案する。