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コロナ禍、そしてロシアによるウクライナ侵攻を機に、サプライチェーンのレジリエンスをどのように高めるかという点が注目を浴びている。多くの専門家が、企業はリスクを回避するために貿易の地域化を進めると予測したが、実態はどうなのだろうか。筆者らが調査を実施した結果、現実にそのようなトレンドは見られず、グローバルビジネスから地域ビジネスへの抜本的な変化が起きる可能性は低いことが判明した。


 企業が、最終製品を販売する市場のより近くで生産を行う「ニアショアリング」戦略を採用する中、専門家は10年以上前から、貿易パターンが「地域化」にシフトすると予測してきた。コロナ禍により、この傾向がさらに強まると予想する人も多かった。

 しかし、最近のデータを見れば、貿易の地域化に関して懐疑的にならざるをえない。パンデミックの渦中でさえ、貿易フローの距離はさらに延長した。今後、貿易の地域化が進展することもありうるかもしれないが、グローバルビジネスから地域ビジネスへの抜本的な変化が起きる可能性は低い。